地域一丸となった強力な農民運動の継続展開を!
北見地区農民連盟 委員長 佐藤 正光
平成29年の新春を生産者盟友の皆さまと共に迎えられたことに心よりお慶び申し上げます。
国内外をめぐる農業情勢が依然として混沌とした中、わが国の基礎食料生産における「安全・安心」を基軸に、『安定供給』対策を含めた、より具体的な国産農畜産物の生産体制の構築に、本年も総力を上げて取り組んでいかなくてはなりません。
そのような中、昨年の北海道農業を振り返りますと、春先まで概ね良好な天候で推移していたものの、定植最盛期となる5月8日及び16日に発生した強風の影響などにより、当地・オホーツクと十勝両地区総計で、てん菜では約3,500haの被害となり、その内、約2,600haが再播、200ha以上が他作物へシフトすることを余儀なくされました。その後も、6月の曇天、7月の低温・長雨に加え、8月中旬には観測統計を開始した1889年(明治22年)以降初めて、台風が4回にも渡り連続で当地を直撃しました。また、道内全域にわたり、農作物を始め農地・ハウスなどの関連施設にも甚大な被害が発生し、被災農家には経済的損失のみならず、精神的苦痛も計り知れないものとなりました。【観測史上初】と呼ばれるような異常天候が乱発する昨今、オホーツク地域の農業生産者は極めて厳しい出来秋を迎えることとなり、改めて自然の猛威を肌で感じた昨年を振り返り、被害に見舞われた生産者盟友には心よりお見舞いを申し上げます。
他方、基本農政対策は、平成27年に発生した「ジャガイモシロシストセンチュウ」対策において、『植物防疫法』第4章に基づく緊急防除を行い、強力な防除対策等を展開することが省令公布されました。また、全道的な被害となった「コムギなまぐさ黒穂病」についても、国は本年度も同病の具体的な対応基準を継続協議中であります。本連盟も、オホーツク管内の各関係機関・団体と連携し、各作物における万全の防疫対策の周知徹底などにしっかりと取り組んでまいります。
さらに、畑作物の直接支払交付金の「単価改定」については、前述の通り、当地のみならず本道畑作農業が台風による甚大な被害に見舞われた渦中にあることから、農業所得に直結する畑作物の交付金単価改定は極めて遺憾であります。とりわけ、大豆・でん粉原料用馬鈴しょにおける単価改定による交付金の大幅な引き下げには、生産意欲の減退などが強く危惧されており、畑作地帯における主産地形成を歴年に渡り維持するため、輪作体系及び経営安定の両全に資する基本農政対策が生産現場からは強く求められております。
その様な状況の中、TPP協定は昨年12月9日に、参院特別委員会及び本会議において、TPP「承認案」及び国内対策の「関連法案」を与党の賛成多数で可決・成立しました。米国・トランプ次期大統領がTPPの脱退表明を宣言し、同協定発効が極めて不透明な状況下において、わが国の異常かつ突出した「国会承認」を急ぐ政権運営のあり方には内外関係者からも強い批判が相次いでおります。このため、本連盟及び道農連では、各関係機関・団体の総意を結集し、TPP協定批准に断固抗議する道農連「委員長声明」の発出と同時に、あらゆるEPA交渉から農業・農村地域を守り抜くことを目的として、全道農民代表者集会や中央行動における各種要請対策などを継続的に行ってまいりました。
その他、取引乳価の引き上げや生乳共販対策、小麦・てん菜・馬鈴しょでん粉などの基幹作物を中心とした畑作・野菜対策、マイナンバー制度に伴う税制改正対策や各業態別「研修会」の開催など、積極果敢な農民運動にまい進してきました。
わが国は今、加速度を増して混迷を極める「内憂外患」の農政課題の渦中において、北海道農業が持つ潜在生産力を最大限発揮し、再生産可能な農業・農村の確立を図るため、家族農業の視点に立脚した農政対策が求められています。また、地域社会との共存を主眼に雇用の安定、食料自給率向上、医療福祉の充実などを喫緊の地域課題として、真摯に向き合っていかなくてはなりません。
日々刻々と変化していく国内外をめぐる農業情勢でありますが、「食料」と「環境」の時代に対応する農業生産者が、消費者(国民)の相互理解のもとで、信頼と期待に応え農業・農村の持続的な発展と活力ある生産基盤体制の構築に向け、粘り強く取り組むことが必要であります。
そのため、本連盟は本年も引き続き、皆さんからの絶大なご支援を賜り「地域一丸」となった農民運動のもと、現場の実態を強く訴え、組織の政策提言【真の農政改革】の実現に向け、全力で運動展開して参りたいと存じます。
迎 春 平成29年
謹んで新年のお慶びを申し上げます
北見地区・市町村農民組織 役職員一同