地域一丸となった強力な農民運動の継続展開を!
北見地区農民連盟 委員長 佐藤 正光
平成30年の新春を生産者盟友の皆さまと共に迎えられたことに心よりお慶びに申し上げます。
国内外をめぐる農業情勢が依然として混迷を極める中、わが国の基礎食料生産における「安全・安心」を基軸に、『安定供給』対策を含め、より具体的な国産農畜産物の生産体制に、本年度も総力を上げて取り組んでいかなくてはなりません。
そのような中、昨年度の北海道農業を振り返りますと、春先まで概ね良好な天候で推移していたものの、6月の低温・多雨の影響により豆類などに大きな生育遅れが散見されました。また、7月は当地・オホーツク管内のみならず、道内各地で11日連続の「真夏日」となる急激な気温上昇で酷暑・熱波の被害を受けました。とりわけ、7月12日~15日は28年振りとなる3日連続での「猛暑日」となり、翌16日は大気の状態が不安定となりオホーツク管内全域において「集中豪雨」に見舞われ、1時間当たりの降水量が置戸・佐呂間両町で観測史上最大の雨量を記録しました。
さらに、8月には曇天による日照不足、10月23日には記録的な大雪被害が発生するなど、改めて自然の猛威を肌で感じる昨年度を振り返り自然災害に見舞われた生産者盟友には心よりお見舞いを申し上げます。そのような気象条件の中でも、豆類を除く各作物においては概ね平年作以上の収穫量・品質を確保することができ、昨年の出来秋はやっと皆さんとともに安堵できる『実りの秋』となりました。
他方、基本農政対策ではオホーツク管内の各関係機関・団体と連携し、小麦(コムギなまぐさ黒穂病)、てん菜(西部萎黄病)、馬鈴しょ(ジャガイモシロシストセンチュウ)など各作物における万全の防疫対策の周知徹底や直近情報の話題提供など引き続き、粘り強く取り組みを強化してまいりました。また、昨年は畑作政策確立の最重要課題と位置づけ、精力的に運動展開した畑地の「産地交付金」対策において、概算要求では『ばれいしょ増産輪作推進事業』が示されたものの、当地の主要作物である「でん粉原料用馬鈴しょ」が同事業の対象外となり、生産現場からは強い懸念と不満の声が相次ぎました。そのため、地区連盟は道農連春闘及び秋闘に一大上京団で中央要請を実施し、地区意見を集約した経過などを参酌し12月の補正予算前に初の独自対策となる各市町村議会(12月定例)における要望意見書の採択運動に取り組みました。その結果、同事業は『畑作構造転換事業』と再度名称変更となり、補正予算で30億円措置されることなどが閣議決定で示されました。
さらに、改正畜安法が可決した下での平成30年度「加工原料乳生産者補給金単価」及び関連対策が昨年12月15日に諮問・答申されましたが、現行水準をわずかに上回ったものの、牛乳生産費(実搾乳量:28年度)が100kg当り2.8%も増加した中では物足りず、国内生産力を高めるための政策支援策を強力に進め、多様な家族酪農を守り育てる重層な酪農・畜産政策及び各種施策などが求められております。
このため、本連盟及び道農連では、各関係機関・団体の総意を結集し国内外をめぐる「農政課題」における運動の強化と同時に、あらゆる貿易自由化攻勢から農業・農村地域を守り抜くことを目的に全道農民代表者集会及び中央要請行動における各種要請対策などを断続的に行ってまいりました。
その他、米・水田農業対策や生乳共販対策、小麦・てん菜・馬鈴しょなどの基幹作物を中心とした畑作・野菜対策、税制改正対策や各業態別「研修会」の開催など、積極果敢な農民運動にまい進してきました。
わが国は今、加速度を増して混沌を極める「内憂外患」の農政課題の渦中において、北海道農業が持つ潜在生産力を最大限発揮し、再生産可能な農業・農村の確立を図るため、家族農業の視点に立脚した農政対策が求められています。また、地域社会との共存を主眼に雇用の安定、食料自給率向上、医療福祉の充実などを喫緊の地域課題として、真摯に向き合っていかなくてはなりません。
日々刻々と変化していく国内外をめぐる農業情勢でありますが、「食料」と「環境」の時代に対応する農業生産者が、消費者(国民)の相互理解のもとで、信頼と期待に応え農業・農村の持続的な発展と活力ある生産基盤体制の構築に向け、粘り強く取り組むことが必要であります。
そのため、本連盟は本年度も引き続き、皆さんからの絶大なご支援を賜り「地域一丸」となった農民運動のもと、現場の実態を強く訴え、組織の政策提言【真の農政改革】の実現に向け、全力で運動展開して参りたいと存じます。
本年度も、生産者盟友の皆さまのご多幸・ご健勝と希望に満ちた実り豊かな年となりますよう、心よりご祈念申し上げ、年頭のご挨拶といたします。
迎 春 平成30年
謹んで新年のお慶びを申し上げます
北見地区・市町村農民組織 役職員一同