地域一丸となった強力な農民運動の継続展開を!
北見地区農民連盟 委員長 佐藤 正光
平成31年の新春を生産者盟友の皆さまと共に迎えられたことに心よりお慶びに申し上げます。
国内外をめぐる農業情勢が依然として混迷を極める中、わが国の基礎食料生産における「安全・安心」を基軸に、『安定供給』対策を含め、より具体的な国産農畜産物の生産体制に、本年度も総力を上げて取り組んでいかなくてはなりません。
さて、昨年を振り返りますと、「今年こそは豊作の秋」をと望んでいましたが、6月から7月にかけて台風や梅雨前線の停滞で甜菜、小麦を中心にほとんどの農産物が影響を受け、農産物相対的には平年並みかそれを下回る収量となり、牧草については大幅な刈遅れ、デントコーンの収量も平年の7~8割程度と餌の品質低下、餌不足となってしまいました。また、9月6日には胆振東部地震による停電となり、牛乳の廃棄が余儀なくされ、電気復旧後も牛乳や卵、野菜、弁当、ガソリンなどの燃料の販売も数日間停止し、牛乳やガソリンなどの平常回復に1週間以上かかり、改めて発電機の導入など大規模停電対策の必要性も実感した年となりました。
農業を犠牲とする貿易交渉について組織は反対をしてきましたが、TPP11が昨年12月30日に発効され、日EUのEPA協定も本年2月1日から発効されます。日米FTAは行わないとしていた安倍総理は日米物品貿易協定(TAG)と名前を変えた事実上のFTA交渉協議を本年1月中旬にも行います。新聞報道によるとアメリカはTPP11以上の市場開放と国家貿易の廃止を迫ってくると報じられています。日本の国家貿易品目はコメや麦、指定乳製品や生糸などで、条件があるものの民間の貿易業者と同じように商業的にGATT(貿易と関税に関する一般協定)17条で認められており、国家貿易の廃止を求めることはGATT協定違反になると考えます。引きつづき、農業を犠牲にするような国際貿易には反対をしていきます。
国内農政では、農業競争力強化関連法案8法案が一昨年断行されました。これを受け、主要農作物種子法が廃止されましたが、コメや麦、大豆などの種子を守るための北海道条例の制定に向け、白川道議(元北海道農民連盟書記長)と「北海道たねの会」(北海道農民連盟加入)が中心となり、道農業試験場で品種改良された優良な主要農産物種子をグローバル企業の手に渡らないための制度作りをしているとともに、今後も農業試験場で農産物の品種改良を続けられるよう道に働きかけをしているところです。
次に本年発表される農協改革では、信協分離、準組合員廃止、組勘制度の廃止などが打ち出される可能性があります。弱いものが集まり共同体を結成し、共同購入、共同販売を行い、安心して農業経営をするために、今日の金融の仕組みである組勘制度や共済制度など、多様な農協の仕組みが出来上がりました。特に北海道の農協は地域の一角を担っているだけに、貯金、共済、営農の分離は北海道農業、北海道経済に悪い影響を及ぼすと考えており、引きつづき注視していきたいと思います。
農民の現場の生の声を、農業政策を立案している農水官僚に直接伝えることができるのは、農民連盟だけだと思っております。今年度も、先の読めない世界情勢、自由貿易、農業改革の波、と課題は山積していますが、「真の農政改革」実現を目指し、今後の運動につなげていきたいと考えています。
本年度も、生産者盟友の皆さまのご多幸・ご健勝と希望に満ちた実り豊かな年となりますよう、心よりご祈念申し上げ、年頭のご挨拶といたします。
迎 春 平成31年
謹んで新年のお慶びを申し上げます
北見地区・市町村農民組織 役職員一同