北海道農民連盟は7月3日、札幌市・道新ホールにおいて、「生産資材高騰対策等緊急全道代表者集会~食料安全保障の強化で持続可能な農業・農村を守ろう!!~」を全道各地より市町村組織代表ら約400名(本連盟より50名)参加のもとで開催した。
集会開催にあたり、道農連・中原書記長は趣旨説明の中で「コロナ禍により2年半、組織の運動、活動は縮小や中止を余儀なくされたが、可能な限り活動してきた。今年3月からは収束の気配が見え、人流の制限解除や経済回復の兆しが見えてきたことから、2019年8月以来の全道集会を開催する運びとなった。コロナ対策としては会場の収容人数700名に対し、半分程度の規模としている。」として開催に至る経緯を述べたほか、近年の農業情勢が報告された。
主催者を代表して挨拶した道農連・大久保委員長は「6月18日からの大雨、降雹被害に遭われた盟友の皆様にお見舞い申し上げる。道農連としても道や国、政治家に訴えていきたい。」とした上で、「農畜産物生産に不可欠な燃油、肥料、飼料、生産資材、農業機械、あらゆるものが値上がりし、大変な状況となっている。記録的な円安も重なり、生産現場の窮状は深刻さを増すばかりで、これが続けば営農継続が困難になり、離農せざるを得ない状況になることは間違いない。農業者自身によるコスト削減努力には限界があることから、国に対し、まずは急激な生産コスト高に対応した影響緩和対策はもとより中長期的な食料安全保障の強化策と国内農業の振興策を早急に打ってもらいたい。そうした中、6月30日に岸田総理が肥料使用量削減を条件に肥料コスト上昇分の7割を補填する、また地方創生臨時交付金について地域実状に応じた支援をすると発表した。我々、生産者としては速やかに情報を発信し、スムーズに対応してもらいたい。複合的な危機的状況により不安と不満の渦巻く状態では、就農を志す若者は減り、夢や希望を持たせることはできない。このままでは日本は間違いなく食糧難に直面する。省庁横断的に別建ての国費予算を準備し、対応策を打つことが重要。各国で自国優先の輸出規制がされる中、日本に優先的に食糧を輸出してくれる国はない。今から備えることが必要となる。今日はみなさん居ても立っても居られないという気持ちだと思う。生産者自らの農民組織として、現場の声をみなさんと一緒に訴え、この危機を乗り越えよう。」として結集を訴えた。
その後、生産者から業態別の現場報告が行われた。水田農家からは東海伸演氏(全上川農民連盟・書記長)、酪農家からは舟橋秀貴氏(道南地区農民連盟・副委員長)が報告し、畑作農家からは本連盟・石井博幸・副委員長が登壇した。石井副委員長は報告の中で「自身の経営費に占める燃油、肥料代を合わせると2200~2300万円程になり、値上がり影響を試算すると1500万円以上のマイナスになる。地理的に生産性の低い土地であり、毎年ぎりぎりの経営であるので高騰の影響は恐ろしい。国が示す増加分の7割補填では安心して営農はできない。補填割合の引き上げを強く求める。」としたほか、畑作の課題であるてん菜の作付抑制、畑作物の直接支払交付金については「オール北海道一丸となってより良い経営が継続できるようみんなで戦っていきたい」とした。
報告終了後、道農連・梅田副委員長(本連盟委員長)より「生産資材高騰対策及び食料安全保障の強化と新たな予算確保に関する緊急決議(案)」が提案され、満場の拍手で採択された。
集会は道農連・出嶋副委員長による団結ガンバロウを行い、終了した。