道農連は学習会終了後に引き続き、「農業経営の存続と持続可能な食料安全保障政策を求める緊急全道農民集会」を開催した。開会挨拶で大久保委員長は「これまでの効率化最優先、新自由主義経済が転換期を迎えている。ロシアのウクライナ侵攻でよくわかったことだが、日本が初めに餓死する。自国の食料は自国で賄う、これが基本である。皆さんと共に訴えて参りたい。」と述べた。
現場からの意見表明では、米・畑作生産者を代表して空知農民連合・山口浩幸書記長が「一昨年、急に出てきた水田活用の交付金の見直しで、生産者の中には作物に合わせた土作りを進めてきたのに、水を張ることでまた一からやり直さないとならないとか、病気がかえって蔓延することにつながるとして心配する声もある。また、肥料やビニールなどの生産資材、燃料や電気料金などが高騰しており、このまま農産物に価格転嫁できなければ離農する農家も多く出てくる。10年前の経営と比較しても、収入はさほど変わらないのに経費は間違いなく上昇している。生産意欲が無くなれば農村の疲弊も加速する。国にはわずかな経費の補てんではなく長期展望ができる政策を構築するよう、消費者と生産者が安全安心な食料確保を国に求めていこう。」と現状を伝えた。
また、「もう、こんなの無理じゃね。やってられない。」と切り出した酪農代表の豊頃町農政協議会・井下清副委員長は「現場はみな同じ気持ちでいる。かつて20軒以上あった地元の酪農家はうちともう1軒だけになった。ご存知のとおり、酪農家の現状は梯子を外された状態が1年以上続いている。出口対策にもかなりの金額を出しているが、乳価の期中改定も出口対策で出した分が戻る程度で、経営改善には程遠く、前回の生産調整どころではない仕打ちにまた遭ってしまった。これはうちだけの話ではなく、全ての酪農家が同じで個々の努力もすでに限界に来ている。赤字の積立か、離農か。選択肢は二つしかない極限状態といっても過言ではないにも関わらず、中央行動に行っても農水省は需給バランス云々。はんかくさいんじゃないか。暢気にしている間に何軒やめたことか。酪農が衰退してどうなるか、牛乳が飲めなくなる。そうなれば先祖が開拓したこの大地は荒れ果て、そんな北海道に旅行やツーリングなんて来ないでしょう。獣医やヘルパー、餌屋にドライバー、関連する様々な職の人に影を落とすことになる。子どものころに聞いた『酪農家は生かさず殺さず』のような政策はやめてもらいたい。こちらにも異次元の農業政策が必要だ。酪農家は単に食料を生産しているだけではなく、特殊でナイーブな職業で、素人が簡単にこなせる仕事ではない。職員や育てた牛を捨てるわけにはいかない。やるしかない。」と強く訴えた。
続いて、道農連・出嶋辰三副委員長より「経営存続に向けた農業政策の確立と食料安全保障の強化を求める緊急決議案」が提案されると、満場一致の拍手で採決された。
さらに、来賓として学習会から引き続き出席の鈴木教授、国会議員秘書、代理者による激励挨拶、メッセージ代読の後、道農連・梅田副委員長の団結ガンバロウを行い、集会を終了した。
なお、集会終了後には消費拡大運動の一環として、札幌駅前にて道産農畜産物(米、砂糖、牛乳)の無料配布を道農連三役、各地区代表により行った。本連盟からは石井、坂野両副委員長ほか3名が参加し、道行く札幌市民に北海道農業や現状への理解、道産食品への「食べて応援」を訴えた。