北海道農民連盟は3月23日に札幌市・第二水産ビルにおいて、「再生産が可能な農業所得の確保に向けた全道農民集会」を全道各地からの盟友300名(本連盟より54名)参加のもとで開催した。
道農連の出嶋辰三委員長はあいさつの中で、「エネルギーや肥料、飼料、農薬などの生産資材価格の高止まりが続き、農業経営はなお一層の影響が危惧されている。高市首相は『食料自給率を限りなく100%に近づける』としているが、新基本計画の45%への引き上げでさえ、今のままでは絵に描いた餅に終わるのではないか。食料基地北海道の食料を生産する米・水田農家、畑作・野菜農家、酪農・畜産農家が、プライドを持って安心して営農できる農業生産基盤を早急に構築し、再生産が可能な農業を遂行することが食料安全保障の強化につながる。現場の意見を政府に届ける農政活動はますます重要と考える。一緒に頑張りましょう」と述べた。
集会では基調講演として、北大大学院農学研究院の清水池義治准教授による「日本の農と食の構造転換と食料安全保障」と題した講演を行った。2024年の新たな食料・農業・農村基本法により、食料安全保障の確保が明記されるとともに、安定性などの概念も含む形で国連などが定義するFood Securityに近づいたことや、1970年代後半に匹敵する令和インフレによる食料品価格の高騰、円安による日本から世界へ金が出ていく経済構造の変化と輸入依存リスクの増大から国内農業の存在意義が高まるといった話に加えて、食料システム法と価格形成の関係では、生産者と消費者では合理的な価格が異なり、乳製品や米を対象に所得支持政策(直接払い)が必要であることなどが語られた。
その後、各業態別の生産者代表による意見表明がなされ、米・水田農家から廣田好彦氏(上川)、畑作・野菜農家から粥川一也氏(後志)、酪農・畜産農家からは舟橋秀貴氏(道南)が登壇し、それぞれの農家経営の現況を伝えるとともに、農政に求める要望などについて意見を表明した。
集会決議では「物価高対策と適正な価格形成、所得政策の確立など農業経営の安定を求める決議案」を山田孝副委員長より提案し、満場の拍手で採択された。
最後に坂野和弘副委員長(本連盟委員長)による力強い団結ガンバロウを行い、閉会した。なお、集会終了後には道農連三役が集会決議を携えて上京し、24日に国会議員に要請を行った。
物価高対策と適正な価格形成、所得政策の確立など農業経営の安定を求める
決議案
1.緊迫する中東情勢においては、すでに原油価格が急騰し、今後の状況次第では長期化も予想され、肥料・飼料など資材価格の一層の高騰も危惧されることから、春耕期を迎えた農業経営に影響がないよう万全な対策を講ずること。
2.食料システム法施行にあたっては、実態に即したコスト指標を設定するとともに、消費者への理解醸成を図りつつ、適正な価格形成を構築すること。
併せて、農業者に対しては、生産費を補えない部分について、再生産が可能な直接支払制度を構築するなど経営安定に資する所得政策を講ずること。
3.食料安全保障の確保に向けて、既存とは別枠による農業予算を拡充し、従来の政策を抜本的に見直す構造転換を進め、食料の安定供給を図る担い手や労働力確保対策など農業生産基盤を強化する施策へ重点的に支援すること。
また、各種制度の見直し等に当たっては、丁寧な議論のもと農業者に寄り添った政策を講ずること。
(要求事項のみ抜粋)