北見地区農民連盟は6月16~17日にかけて、梅田俊則委員長はじめ各組織代表44名参加のもとで「中央要請行動」を実施した。
立憲民主党所属の国会議員要請では、徳永エリ参議、川原田英世衆議、田名部匡代参議、神谷裕衆議、石川香織衆議、篠田奈保子衆議が出席し、提言書に基づく要請を行った後、参加者との意見交換を行った。参加者からは「今回、ゲタ対策で要請しているが将来を考えると直接支払の実施が重要で、議員からも言ってもらいたい」「2.5兆円の農業予算では全く足りない」「生産費の高止まりが続いており、生かさず殺さずではなく所得確保政策を」「酪農家は負債を抱えており、返済しながらの所得確保は非常に困難」「加工原料乳生産者補給金の算定に矛盾があるのではないか」といった現場の声が挙げられ、議員と意見が交わされたほか、各種事業に対して「なかなか適合せず、せっかく予算がついても残るのでは意味がない」「面積、規模的に町内の平均的な経営をしているが、てん菜の移植から直播への事業が利用できない。全ての事業に対して、せめて平均的な農家が普通に使えるようにしてもらいたい」という要件緩和を求める意見に対して、川原田衆議は「農業予算がどんどん切り詰められる流れもあり、農水省と議論をして、財務省に要請しなくてはいけない」との考えを示した。
これに加えて、国民民主党の舟山参議、臼木衆議への要請・意見交換も実施したほか、道内選出の与野党国会議員に対して提言書を届ける班別行動も実施した。
また、農水省担当各課への要請は3部に分け、それぞれ回答を受けた後、意見交換を実施した。
畑作対策では、①基本計画に基づく食料安定供給体制の確立②合理的輪作体系の維持を図る畑作物の事業の構築③てん菜の安定生産の確保④麦・豆類の需要拡大と生産意欲向上制度の構築⑤馬鈴しょの安定生産対策とシロシストセンチュウ対策⑥気象変動、高温・猛暑に対応した生産体制の確立⑦水田政策の見直しにおける畑地化農地への公平な支援を求めた。
意見交換では、馬鈴しょについて「種芋の機械導入が困難」「原原種育成のリスク分散と安定供給」などについて様々な意見が出たほか、麦豆類では「集出荷施設の問題」「小麦種子への支援拡充」などの現場要望が伝えられた。てん菜については相変わらず令和9年度以降のビジョンが示されない中、「直播か移植かではなく、バランスを取ってどちらも支援してもらいたい」「外部委託するような余裕はない」といった意見が寄せられた。シロシストセンチュウ対策では25年度末が緊急防除期限だが、状況に応じて延長や支援継続があるとし、生産再開のルールについては道庁と連携して関係機関と種馬鈴しょ生産全般にかかる課題を検討する場を設ける調整をしていることが示された。水田対策については「畑地化の有無に関係なく公平な取り扱い」「急な手のひら返しで現場が混乱しない政策」を申し入れた。それ以外ではストックポイント助成における地目変更の要件緩和やてん菜の糖度測定におけるセンサー設備導入への支援などの要望を伝えた。
続いて、今年改定される畑作物の直接支払交付金を含む経営安定対策では、①生産資材価格高騰時の補填対策の構築②畑作物の直接支払交付金算定の見直しを求めた。①については発動基準を明確にした制度確立の要求に対して「機動的に影響緩和対策を講じうる仕組みを整備した」と回答したが、発動基準や補填割合への明確な答えはなかった。②のうち「ゲタ単価算定に係る基礎項目の詳細提示」については「これまでも使用データを公開している」としたが、確認できない数字があることや生産者側に不信感があることを問うと、「データの客観性、透明性を担保したい」と回答した。また、「品質加算に対する要望」については「基準より+側の加算を大きく、-側の減産を小さく」を要望したが、「メリハリをつけた生産意欲の喚起ということでアイデアとして受け止める」とした。「でん粉原料用馬鈴しょの全量交付金対象化」については、「片栗粉等の特定用途向けは輸入でん粉と差別され、販売価格が高いので対象外」とし、「麦類のTPP加算の維持」については「麦価の状況をみて検討を行う」とした。
参加者からの「単価計算の変更が困難なら努力を反映する別途対策を」「コストを回収できなければ投資できない」「てん菜は移植、直播どちらで基準を作るのか」「生産費を下げるのは我慢であって限界がある。標準的な生産費と必要な生産費は異なる」などの切実な意見に対しては「ゲタを変更するのか、別途対策を打つのかご意見を頂きながら今年度の期限までに決めていきたい」とした。ゲタ対策については道農連:春闘対策の中でも、引き続き訴えていく。
酪農畜産対策では、農水省畜産局や消費・安全局に対し①将来を見据えた各種目標の設定について②経営継続が可能な新たな所得安定対策の策定③配合飼料価格安定制度の安定運用と制度見直し④地域経済存続に資する酪農・畜産生産基盤の維持に向けた対策の強化⑤生産現場の実態に則した事業要件の緩和⑥家畜防疫対策の継続・強化について要請した。
意見交換では、参加者より「町内では運送業者が農作業を請け負っているが、飼料生産組織の体制強化支援事業に参加できない」との意見に対し、農水省は「作業受託の面積拡大や収穫作業をやっていただけるのであれば、運送作業をやられている方々でも対象になる。ただ予算的に今年度は厳しそうなので、早めに振興局の方にご相談いただければ」と回答した。加えて参加者からは、「規模拡大しないと支援できないとか、新規作物を作るとかは今の営農状況では不可能なので維持に対し支援してほしい」との意見に対しては、「単純更新への支援は難しい。しかし、大きく見れば維持だが、農家が減っていく中で、(結果として)一人当たりの受託面積が大きくしていくという取り組みへは支援したい」と回答した。
他方、「補給金の見直しは検討しているのか」との質問に対しては、「補給金や直接支払いに関する見直しに対して、明確にいつまでになるか、動き自体が現時点であるわけではない。財源等の課題もある」とした。また、「飼料生産基盤立脚型酪農・肉用牛産地支援事業について、酪農家はともかく肉牛農家は肥育専門や子牛専門など多様な経営形態があり、場合によっては40a/頭の面積要件がクリアできない場合がある」との意見に対し「本事業は元々、酪農経営安定対策から派生してきた事業というのもあって、酪農をメインに組み立てられた事業だった。対象は7ヶ月齢以上の牛で、今回はエサ活事業(飼料生産)なので、肉牛を含めた飼料畑の必要面積を全て平均して40aとしている。これを分けてしまうと酪農の面積要件が増えてしまったり、支援単価も分かれるなど複雑になってしまう」と回答した。