政府は、昨27年11月25日に、TPP「大筋合意」を受け総合的なTPP関連政策大綱を示し、農林水産業は『農政新時代』を掲げ、「努力が報われる農林水産業を実現するために、未来の農林水産業・食料政策のイメージを明確にする」とした。
また、農林水産業の成長産業化に向けた必要な施策について、秋頃を目途にまとめるとしている。政策大綱の検討継続項目として示されたのは以下の通り。
(※赤字記載は、上部組織・道農連の29年度:国費予算概算要求対策における「重要政策」)
○農政新時代に必要な人材力を強化するシステムの整備
●生産者の所得向上につながる生産資材(飼料、機械、肥料など)価格形成の仕組みの見直し
●生産者が有利な条件で安定取引を行うことができる流通・加工の業界構造の確立
●真に必要な基盤整備を円滑に行うための土地改良制度の在り方の見直し
○戦略的輸出体制の整備
○原料原産地表示
○チェックオフ制度の導入
●従前から行っている「収入保険制度」の導入に向けた検討の施策
○農家が安心して飼料用米に取組めるよう、食料・農業・農村基本計画に明記された生産努力目標の確実な達成に向け、生産性を向上させながら、飼料用米を推進するための取組方策
○配合飼料価格安定制度の安定運営のための施策
○肉用牛・酪農の生産基盤の強化策の更なる検討
○農村地域における農業者の就業構造改善の仕組み
安倍首相は、通常国会閉幕後の記者会見で、「アベノミクスのエンジンを最大にふかしリスクを振り払う」とし、秋に大胆な経済政策を講ずると発表した。
さらには、「最も重要なことは構造改革の断行」だと述べ、TPPの早期発効、日EU・EPAなどの必要性を強調している。しかし、わが国の基本農政にも大きな影響を及ぼすTPP「承認案」及び「関連法案」については、秋の臨時総会での論議に先送りし、TPP関連政策大綱に示された12項目の検討論議も全て参議院選後に先送りした。
一方、TPP協定「承認案」をめぐる国会審議では森山農水大臣より農産物市場アクセスにおいて、「変更を加えなかった品目はない」と答弁したことからわが国の重要5品目の【聖域】を確保するとした国会決議に明らかに相反しており、断じて認められるものではない。
また、本年4月1日から「改正農協法」並びに「改正農業委員会法」などが施行されたが、生産現場・農業者不在のまま論議進められてきた。
とりわけ、改正農協法では協同組合の精神である相互扶助の考えはまったく軽視されており、官邸主導で競争ばかりが強調されて改革が断行されている。
また、現在も国費概算要求対策の中で検討されている「生産資材価格形成の見直し」でも、価格競争が働かず引き下げが進んでいないと農協批判ばかりを展開しており、参院選後の具体化に向けて、より一層の企業参入への規制緩和を加速化させることが危惧されている。このままでは、地域の農業・農村を支える家族農業を切り捨て、本道経済・社会までも存続の危機に追い込みかねず、農業生産や営農の継続などに甚大な影響が懸念されている。
このため、道農連及び本連盟では、正念場となるTPP国会批准の断固阻止などを求めていくとともに、引き続き、食料の安定供給及び多面的機能の発揮を目指す政策提言【真の農政改革】の実現を求め、家族農業などの持続的発展に資する政策要求対策を行っていくことなどを過日(7/20~21)開催の道農連:第4回(移動)執行委員会において、平成29年度国費予算概算要求の各提言項目を協議・確認した。
また、それらの要請項目に対し、基本農政及び業態別の中央要請を7月26~27日(終了)の「畑作・野菜政策確立中央行動」を皮切りに、8月上旬に「平成29年度:農業関連税制改正・農業用貨物自動車期間延長対策中央行動(8/2~3)」、「酪農・畜産基本政策対策中央行動(8/4~5)」、「平成29年度:国費予算概算要求に係る基本農政対策等中央行動(8/9~10)」などを波状的に展開し、今次の国費予算概算要求以降の【秋闘対策】にも付随する各業態別の要請事項を農水省・対策各課及び道内選出国会議員に対し、強く要請していく。